何度夜が明けても、星より遠く離れても、この手に残る温もりを忘れない。 美園和花 弥生みづき
近いようで遠かったあなたが、本当に遠くへ行ってしまった。モデルとして東京で頑張るあなたの、キラキラまぶしい写真を田舎からSNSで見つめるだけの私。どんどん画面の向こうの憧れになっていくあなたは、もう私のことも忘れてしまったかもしれない。そう思っていたある日、再会は突然やってきた。恋に落ちたあの日のように高鳴る胸。でも、ずっと見つめてきた顔だからわずかな翳りも見逃せなかった。本当になんでもやったのにダメだったと自嘲して笑うあなた。夢のために自分を汚したあなたが哀しくて、許せなくて、愛しくて――私の唇はあなたのそれに引き寄せられていた。二度と離したくない。今まで触れられなかった分、熱く激しくあなたを求める。でも、あなたにはここでは叶えられない夢が、私にはここに守るべきものがあって……。